2023年4月7日公開の映画『ザ・ホエール』を観ました。
今回は『ザ・ホエール』の感想を書いていきたいと思います。
観た直後の興奮と感動冷めやらぬうちに、どこかにぶつけたくなったので本記事をそのにしたいと思います。
1度しか観れていない上に涙でそれどころじゃなかったので、考察などの高度な感想は書けません悪しからず。
若干ネタバレします。ネタバレ注意です。
作品概要については以下のサイトを参考にしてください。
映画『ザ・ホエール』オフィシャルサイト 2023年4/7公開 (whale-movie.jp)
感想
簡単な感想は以下の通りです。
ダーレン・アロノフスキー監督
本作の脚本(原作となった劇)が素晴らしいことは言わずもがな、ダーレン・アロノフスキー監督が手腕を振るい、”人間”を等身大に映し出していた。
『レスラー』や『ブラック・スワン』、『レクイエム・フォー・ドリーム』などを観て、監督の魅力は、”人間”を映し出すことの巧みさだと思っている。
本作もその例に漏れず、友人として、教師として、夫として、恋人としてそして父としてのチャーリーという人間の様々な姿をありのままに映し出していた。
主要登場人物5人の名演
チャーリー役ブレンダン・フレイザー、エリー役セイディー・シンク、リズ役ホン・チャウ、トーマス役タイ・シンプキンス、メアリー役サマンサ・モートンの5人の演技に圧倒されました。
みんなにオスカーをあげたいぐらいです。
・・・・できないので、精一杯の声援と拍手と感謝を。
ホン・チャウとサマンサ・モートンの演技が凄く好きでした。
でもやっぱりブレンダンの演技は鬼気迫るものがありました。
そしてオスカー受賞という偉大な功績には感無量です。
ガッツリ『ハムナプトラ』世代なので・・・・。
感動をありがとう!!!!!!!!!!!!!!
全ての人間へ
この作品は全ての人間に心当たりがあるのではないでしょうか。
不安や哀しみ、怒りや悩みなどの負の感情を抱えた人間はそれをどう克服するのか?
チャーリーの場合は暴飲暴食だった。心に空いた穴を食事で埋める。
何かで心の穴を埋めないといけないという人間の悲しい性。
チャーリーだけでなくエリーも同じです。
具体的な悩みは分かりませんが、学校などでの人間関係や家庭の問題に悩まされ、怒り傷つき破壊的な行動をとっています。
人間は弱いんです!そうして生まれた心の穴を破壊的な行動で埋めようと奔走するのです!
これがある意味で普遍的な問題だと思った。全ての人間に向けた作品なのかもしれない。
そして破壊的な行動を起こす人を身近に持つ人にも何かを与えることができるのがこの映画だと思う。
人間の価値とは?
僕は常日頃人間が生きる意味と生まれた意味は<世界の素晴らしさに気づき、この素晴らしい世界を楽しむため>だと思っています。
それと同時にこうも思います。<人間は卑しく醜くどうしようもなく最低だ>と。
ある意味で人間に絶望しています。
ただ世界の素晴らしいの中には人間とその活動の所産が含まれています。
矛盾していますね。
僕と同じくエリーも人間に絶望しています。
一方でチャーリーはどうでしょうか?
チャーリーは人間を、人間の本質を信じ続けました。
作中ではエッセイや課題という形で本音を書かせるように促していました。
また自身の見た目に対する周りの目を気にしていました。自分は醜いのか?と。
自身が見た目を気にしているからこそ、人間を信じ続けたのではないでしょうか?
外見だけではわからないその人が持つ本質。
人間というどうしようもない存在の肯定とルッキズムへのアンチテーゼ!
前向きなチャーリーの心の底からの咆哮が僕やエリーに微かな希望を与えてくれた。
ルッキズム(英: lookism)とは、外見重視主義。主に人間が、視覚により外見でその価値をつけることである。「look(外見、容姿)+ism(主義)」であり、外見至上主義、美貌差別、外見差別、外見を重視する価値観などとも呼ばれる。「容姿の良い人物を高く評価する」「容姿が魅力的でないと判断した人物を雑に扱う」など、外見に基づく蔑視を意味する場合もある。
ルッキズム – Wikipedia
父と娘
本作はチャーリーの様々な側面を描いていたがやはり父という顔がメインだろう。
なので最後はその点について触れ、この記事を締めたいと思う。
チャーリーは父親らしいことはほとんどできていないのかもしれない。
父親に捨てられたという事実を受け入れるのに8歳という数字はあまりにも幼い。
エリーは大きな傷を抱え、父からの愛などつゆ知らず、破壊的な人間に育った。
しかし父らしいことはできていなくとも、娘を想い、娘を愛し、娘を信じ、そして娘に世界一幸せになってほしいと願い続けた。
過去に起きたことは変わらない。しかしチャーリーの想いをエリーが知ったことは2人に救いを与える。
子どもを一人前に育て上げるのが親の役目だろう。
そのうえで忘れてはいけない。チャーリーのこの姿勢を
おわりに
僕はこの作品は救いを与えてくれる作品だと思う。
作中ではある意味宗教的救済を否定しているが、それでもこの作品には救いがある。
そして巧みに描かれたチャーリーと周囲の人々の姿に自分を投影しこれから幾度となくこの作品を観て泣くのだろう。
ありがとう!『ザ・ホエール』
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