今回は前回に引き続き、ブライス・ダラス・ハワードの監督作品を通して、彼女の「監督」としての顔に迫りたいと思います。
前回#1と次回#3はこちら(↓)
今回扱うのは
・大学時代の友人キャサリン・ウォーターストンとアルフレッド・モリ―ナが主演の『Orchids』
・統合失調症患者を描いた『Call Me Crazy:A Five Film (Lucy)』
の2作品です。
Orchids (2006)
あらすじ
カメラが趣味の女性ベアトリスがある日写真を撮っていると、ブチギレた女性が豪邸から出てくる。
彼女が投げ捨てた新聞の切れ端にはとある部分に赤丸がしてあった。
『中年の男やもめ女友達(彼女)募集中』
彼女は興味を惹かれそれに応募することにした。
男やもめとは、奥さんと別れた人のこと(死別・離婚)。
題名の Orchids は蘭のこと。
YouTube で観ることができますが字幕はありません。
なのでまたネタバレ解説書いておきます。
監督としてどうなのか
『When You Find Me』に比べると多少見劣りする内容ではありますが良い作品だと思います。
「長尺で観たかった・・・」という願望が僕の中で生まれたので、僕はこの作品を高く評価してるんだなと思います。
『When You Find Me』は写真からインスパイヤされているので手放しで画を褒めなかったのですが、今作は褒めます。
例えば10分36秒以降の構図は淋しさと虚しさが襲ってくる素晴らしい画だと思います。
今回はブライスも脚本に関わっているようですね。
一方で短編だからの良さがあるとは思いました。
メイン以外のところが「何だこりゃ?」と感じる部分も多かったです。ルームメイトのシーンとか・・・。短編なので「まあいいか」と思いましたが。
あと長編となると話をどれだけ肉付けできるのか、観客を引き付けることができるのか悩ましい所です。(偉そうだな)
短編の延長線上に長編があると思えば、ブライスが長編で良い作品を生み出せない道理はないと思うんですけどね。
実際に観てみないと机上の空論止まりです。
『When You Find Me』同様にその映像の美しさや音楽の調和は素晴らしいと思います。
キャサリン・ウォーターストンは今作が映画デビュー作。
『ファンタスティックビースト』シリーズで彼女のことを知りましたが、この作品では繊細な演技に目が行きます。素晴らしい才能ですね。
彼女しかりアルフレッド・モリ―ナしかり、どうもキャストが輝いて見えます。
これも当時既に複数の映画に出演していた彼女ならではのディレクティングが関係しているのでしょうか?
Call Me Crazy:A Five Film (Lucy) (2013)
元々は5つのオムニバス形式の作品で、そのうちの1つが今作です。
今回は英語字幕がついていたので解説のようなものは省かせていただきます。
あらすじ
ロースクールに通うルーシー。統合失調症を患ったルーシーが施設での交流を通して立ち直っていく物語。
監督としてどうなのか
うーん、なるほどね~~~。ここにきて新しさがあるというね。
トーンや物語は明るいのにスリリングな要素があるというギャップが堪らない。
特にビジュアル的な側面で言えば美しさに加え、今作では統合失調症の症状を映像で魅せる、つまり非常にスリリングで幻のような映像という新たな側面を見せてくれましたね。
そのスリリングさがあるからこそ心温まるシーンが引き立つわけなんですが。
まとめ
4作品から見えてくる顔
ここまでブライスの4つの作品に迫ってきました。
そこから見えてくるのは彼女の圧倒的な技術やセンス、役者の魅力を引き出す演出力です。
彼女の才能を疑う人はいないでしょう。いても僕が消します。(訳:説得させます。)
そして作風の共通点も見えてきました。
ブライスの人柄を反映させたような前向きな作風であるということです。
このような作風がいかにして生まれたのか。僕はじっくりと考えました。
しかし僕はその答えを既に知っていました。
それこそ『Dads 父になること』です。
『Dads 父になること』を観るべき理由
僕が今まで扱った4作品をランキングにしたならば『Dads 父になること』は第4位です。
しかしブライスの「監督」としての顔を知りたいのならば必ず観る必要があると思います。
『When You Find Me』での
『Orchids』での
『Call Me Crazy』での
これらはブライスだからここまで伝えることができたのだと思います。
それもすべて『Dads 父になること』から垣間見えた家族のカタチが大きな影響力を持っているでしょう。
だからこそ!!!!!!
『Dads 父になること』を観るべきなのだ!!!!!!!!(暴論)
『Dads 父になること』が彼女の作風が生まれたワケを裏付ける作品になっていると思います。
おわりに
彼女は女優業も積極的なので、大作映画監督は中々難しいかもしれませんが、
ジョディー・フォスターやサラ・ポーリーなど監督としても大活躍中の女優さんがたくさんいるので、その一員に名を連ねてほしいですね。
とにかく自由に撮影してほしいです・・・・。(切実)
ブライス監督らしい作品がいつか劇場で観れる日を僕は待っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
まだ取り扱っていない作品がSW含め存在するのでもしかすれば#3があるかもしれません。
気が向いたら・・・。
今後の彼女の監督としての活躍に大注目です。
コメント