最高に生かした世界観と車、キャラクターでお馴染みの『マッドマックス』シリーズ。
2015年にトム・ハーディ、シャーリーズ・セロンを迎え『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(以下『怒りのデスロード』)としてスクリーンに返り咲き大きな話題を呼びました。
その作品でシャーリーズ・セロンが演じた人気キャラクター、フュリオサを主人公に据えた前日譚『マッドマックス:フュリオサ』(以下『フュリオサ』)が2024年に公開されました。
過去4作品同様、御年79歳のジョージ・ミラーがメガホンをとることでも大きな話題を呼びましたね。
僕も公開から1カ月半が経ち、ようやく鑑賞することができました。
とんでもないくらい面白かったのですが、完璧な映画とはなかなか出会えないものですね。
最高に面白かったのですが、疑問と不満も浮かびました。
その1つがフュリオサの髪型についてです。
今回はなぜフュリオサが坊主頭にしたのかを考察していこうと思います。
もちろんネタバレ注意です!
フュリオサの人生&髪型遍歴
フュリオサの簡単な人生と髪型遍歴を時系列でまとめます。
間違えてたらごめんなさい。
現在=ディメンタスを〇〇した時点を基準にします。
- 15年前ディメンタスに捕まる
この時に母親を殺される。
髪型:ショートヘアー
- 14~15年前?イモータン・ジョーに引き渡される
リトルDの愛称でディメンタスに可愛がられていた?
髪型:ロング(赤毛)
- 14~15年前?イモータン・ジョーの息子リクタスに襲われる
イモータン・ジョーの将来の妻候補だった。失踪扱いか?
髪型:坊主
- ?身分を隠し潜伏する
シタデルで下っ端として働く。
頭は頭巾で覆い、口のきけない少年のふりをしていた。髪型:伸ばしっぱなし?
- 1~5年前?ウォー・タンクの製造
メカニックとしてジャックが運転するウォー・タンクを製造する。
髪型:ロング
- 1~5年前?副官として活躍
ジャックの副官として活躍する。
頭巾を取り髪型をあらわにしている。髪型:ロング
- 現在ディメンタスに復讐を果たす
ジャックを殺され復讐に燃える。
髪型:坊主
- 4~5年後?マックスと出会う
攫われてから7000日(≒19年)という発言。
髪型:坊主
ちなみにですがフュリオサが坊主であるという設定は、『怒りのデスロード』でフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンのアイデアです。
なぜ坊主にしたのか?
普段ならこんなところはスルーするのですが、アニャの坊主が似合ってなかったことで引っかかって、坊主にする理由(背景)の描き方に雑さを感じてしまいました。
坊主にする
必要性を
感じないんだなぁ
みつうぉ
『怒りのデスロード』を観て僕が解釈した坊主の理由と『フュリオサ』の描写とのズレを感じたことがこの記事を書いた最大の理由です。
『怒りのデスロード』でのフュリオサ
『怒りのデスロード』で描かれたフュリオサは視聴者を魅了するカッコよさと哀しさを持っていたキャラクターです。
子を産む機械として扱われたイモータン・ジョーの妻達を救う救世主であり、彼女たちを安全に理想郷へと運ぶ守護者です。
イモータン・ジョーの妻達とフュリオサ、その比較の中に髪型を坊主にする理由があると思います。
ボロボロの服、金属の義手、土と汗と油に汚れた姿、坊主頭と同じ女性でもイモータン・ジョーの妻達とは天地ほどの違いがあります。
坊主頭である理由は、イモータン・ジョー率いる悪魔のような男達から、か弱い女性を守る強い存在として描くために必要な女性らしくない見た目だったのだと思います。
髪が長いと弱点になりますし、女性が身体的に男性に劣るという先入観を壊してくれる重要な設定ですね。
坊主であることを裏付けるもっともらしい現実的なストーリーや描写を『フュリオサ』で観たかったのですが・・・。
『怒りのデスロード』では象徴的な理由で納得できますが、『フュリオサ』でもそれをやられるとちょっと受けつけない。(黙って観ろ)
まじでなんで坊主にした?
1度目の坊主はリクタス及びイモータン・ジョーから逃れるために坊主にしたようですね。
まぁこれは納得というか面白いストーリー。
その後も坊主なら特に引っかかることはないのだけど、結局髪を伸ばしている。
ただ女性であることがばれたくないので頭を頭巾で覆っている。
問題は2度目の坊主。
警護隊長のジャックと死地を超えたことで彼との間に強い絆が生まれました。
それ以降、女性であることを隠しもしない!!!!!←マジでなんで?副官だから?美人のくせに美人じゃないって設定とかならギリギリ納得する。
その後ディメンタスに捕まり、ジャックを目の前でじわじわと殺され、自分で腕を斬り逃げ出す・・・。
→ディメンタスへの積年の恨みに拍車がかかりイモータン・ジョーに「あいつはわたしのもの!」
→ジョキジョキ
理由がないじゃん?!髪が命取りになったわけでもないし、ジャックの死はそれの理由としては弱いような・・・。
フュリオサ=坊主を矛盾なく描きたいならばそれらしい描写や補足がほしかった。
未公開シーンとかあるのかな?
答えを捻りだしたら納得した話
ジョージ・ミラー監督が答えをインタビュー等で語っていないかと思い探したのですが見つからず・・・。
代わりにフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイの以下の発言を発見しました。
It made sense to me because I think what’s incredible about this character is she just refuses to die — really, she refuses. It made sense to me that she would lose her arm in the pursuit of something that she thought was bigger than herself. That made a lot of sense to me. The loss of the arm and the loss of the hair actually both were important steps that we had to take if we were going to be able to chart the journey of how this little girl became a character that now we all know and love.
How Furiosa Loses Her Arm Teased By Anya Taylor-Joy & George Miller: “She Just Refuses To Die” (screenrant.com)
取り立てるような発言はないのですが、
「腕と髪を失ったことは、どのようにして小さな少女が私達がよく知っていて愛しているキャラクターになったのか、その道のりを描くためにどちらも重要なステップだ」
この発言から成長や変化という解釈と『怒りのデスロード』起点ではなく『フュリオサ』起点で坊主の意味を考えてみようと思います。
フュリオサはいったいなぜ坊主にしたのか?
結論から言うと、フュリオサの坊主は戦う覚悟を決めたことを意味すると思います。
僕も学生時代、部活の大会前に気合を入れるとかいう謎の理由で坊主にしたなぁ~。
つまりフュリオサはひと昔前の学生ってこと?
・ディメンタスに捕らわれて逃げる努力もしなかった。(物理的に逃走は不可能だったのだが)
・機会を窺っていたとはいえ、潜伏≠戦う
・取引とはいえ副官の身に甘んじた。(?)
・それまでとはうって変わって機転を利かせリクタスと戦うことを決めた。(戦う=逃げる)
・それまでチャンスこそあったが目を背けてきたディメンタスへの復讐を何が何でもやり遂げる覚悟を決めた。
・ディメンタスを倒した後もイモータン・ジョーと戦うことを決めて坊主頭を保ち続けた。
少し強引なところもありますが、坊主にしたのはもっともらしい現実的な理由があるわけではなくフュリオサの完成を描いているんでしょう。
かつてリクタスに立ち向かった”フュリオサ”がもう1度必要だった。
それは『怒りのデスロード』でのフュリオサと同一人物のフュリオサ・・・。
こうやって文字にしてみることで納得できたような希ガス。
おわりに
今回はなぜフュリオサは坊主にしたのかということについて考察してみました。
まぁあまり納得する答えは出なかったわけですが、フュリオサが戦う覚悟を決めて『怒りのデスロード』での彼女が完成するという結論に達しました。
やはりジャックの死が坊主の契機となるにはいささか弱いという印象が拭えないので、もっともらしい理由がほしかったです。
坊主が仇になるか、女性らしさがカギになるかしてくれたらよかったんですけどね。
まぁでも今作が超絶スーパーウルトラ級に面白いことに変わりはありませんから。
なぜフュリオサはなぜ坊主にしたのか皆さんのお考えをぜひコメントでお教えください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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