ティム・バートン版バットマンの続編アメコミ#1『Batman’89』感想

数々の名作を生み出してきたティム・バートンが監督を務め、マイケル・キートンがバットマンを演じ、現在まで愛され続ける『バットマン』（1989年）と『バットマン リターンズ』（1992年）。

良作の正統な続編があるのを皆さんご存じでしょうか？

それが今回扱う『Batman’89』です。
両作で原案を、1作目で脚本を務めたサム・ハムがストーリーを書いています。

正統続編である『Batman’89』の感想を書いていきます。

備忘録的な内容ですがよろしければお付き合いください。

作品概要

作者
ライター：Sam Hamm（サム・ハム）
アーティスト：Joe Quinones（ジョー・キニョネス）
カラーリスト：Leonardo Ito（レオナルド・イトウ）
レタラー：Clayton Cowles（クレイトン・コウルズ）

感想

感想は1話＝1リーフごとに書いていきます。

SHADOWS チャプター1

面白い！！！続編っていうこともあってキャラと俳優陣の顔がそっくりだね。

初っ端からサプライズで、ティムバートンの作品に出てきたキャラの仮装がたくさん！
ビートルジュース、マーズアタック、ナイトメアビフォアクリスマス。

ハービーの提案は、「バットマン倒そうぜ、ゴードンの怠慢だ、裏で糸を引いてるに違いない」って感じ。
いやゴードン本部長批判するのは簡単よな。

まぁ確かにヘリが墜落した時はやりすぎだろと思ったけど・・・。

ブルースもそれは分かってるみたいね、マイナスの方が大きい場合には辞める的な発言してるね。

軍隊がゴッサムシティに導入するのはやりすぎなんじゃ？しかも門限まで？！（平和ボケ）

ハービーの描写が結構面白かった。
オリジンも相まって黒人で成り上がることだったり、溢れる自信と垣間見える傲慢さが上手く描かれてるのよね～。

ゴードンとバットマンの会話めっちゃ笑ったわ！(笑)
「あのクソ野郎（ハービーのこと）！うちの娘と婚約しやがって！🤬」（冒頭でプロポーズしてた）

でもその後、バーバラとの写真眺めながら「娘とはあんまり話さん・・・」って吐露するところなんかお父さん過ぎて好き、直後の「なんでこんなことお前さんに言ってんだか・・・」ってのも解釈一致すぎるわ。

このチャプターの終盤めっちゃ良くてね。
バットマンが強盗だと思った少年追っかけたら、幼い妹の為にオムツ盗んだ少年だったシーン。

窓から入ってくるバットマンが恐怖すぎて、明らかにヒーローの描写じゃないんだよな～。
怖いよ！不審者だよ！

少なくともそういう側面を持ってるって描写だよね。

SHADOWS チャプター2

マジか・・・重いわ・・・流石に・・・。

4人がけがを負い、そのうち2人が危篤状態、オムツの少年が死亡・・・。そりゃ落ち込むわ。

フードとマントを身に着けた謎の人物は、ハービー馴染みの自動車整備屋にいるドレイク君。
この子は今作でのロビンなのね。この子にも責任の一端はあると思うけどな。
ギザギザマントカッコいい！

バーンサイドは黒人がたくさん住んでいて、今回犠牲になったビルもバーンサイドにあるっぽいね。

こういう人種的な格差や問題はメイン要素みたいだね。

ねぇちょっと待って？！ミス・キティいるんだけど！！！！めっちゃブルースになついてる！！！！

あとテレビに出てるドクターQってハーレイクインだよね？

アルフレッドの助言とハービーのスピーチ聞いたブルースが寄付を申し出るんだけど、このやり方が彼には合ってるようにも思えるね。
バットマンは引退なのかな。

ドレイク（ロビン）が倒した白人達の仲間の１人が、ドレイク（ロビン）の後をつけて整備屋の人間てばれちゃうのホンマ詰めが甘い。

それで復讐して火つける方も大概だなと思っｔ・・・セリーナ！！！！！！！！！！！！！！え？？？？？？セリーナ登場するんかい！！！！！アッツ！！！！

しかもブルースと再会＆キス！💋
キッスだ！キッス！

ドレイクが中にいると思ったハービーが炎の中に助けに行くんだけど、もう最悪な未来しか見えない。
この予定調和がバットマンの良いところ。

バットケイブでよく見かけるバカでかコインを搬入してるシーン何気に大興奮の描写。
チャプター1読み返すと銀行の玄関に掲げられてたものかな？

SHADOWS チャプター3

性格悪いオブ・ザ・イヤー！

救出に成功！
→一躍ゴッサムのヒーローに！
→現市長のスキャンダル発覚！
→市長に立候補し、当選！
→1年後、恋人のバーバラは本部長就任
→バットマンが複数人いて、ブルースと前本部長が支援していたことが明らかに！（ハービーの予想通り）
→という夢を見たのさ！！！！

もちろんこれを読んでる僕は「嘘くせぇ」って思ったし、案の定気を失っている間に見た夢なんだけど、この描写はかわいそう。

現実は顔半分が酸で溶け、最低6ヶ月寝たきり入院＆ヒーローになったのはブルース＆放火犯（白人）は釈放。
これ悪夢だろ・・・。

病院でのハービーがキツイ、両面が表のコインを”捨てる”のね。

ハービーの元の性格、高い自信と揺るぎない信念、望んだものは全て叶える（引き寄せる）ようなところが変わるのは悪いことには直結しないんだろうけどどうなるんだろうか。

と、思ったら最後のページ・・・「ゴッサムの魂は・・・・地獄に落ちた」って、覚悟がいるなこの先の話は。

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あとドレイクは自分が狙われたってことは分かってるっぽいね。

ブルースもドレイクの正体に気づいたっぽいね。（いやどこで？！）
屋根に上ってたって発言だけで？世界一の探偵（笑）にならない？？？

ミス・キティ～～～～～アルフレッドのお仕事邪魔しちゃダメですよぉ～～～。🐈‍⬛😻

リターンズのオマージュかな？
バットマンが上でキャットウーマンが下だけど押し倒してキスするってのはオマージュな気がする。

「まだ金持ちや権力者を恨んでるの？」じゃないのよ！当たり前だろ！ブルース！

それよりセリーナ、ハーレイのところ通ってない？ここでつながるのかぁ～～面白い！

SHADOWS チャプター4

ロビンを好きになれないかも・・・。😞

警察（ブルックス）は最低だけど、なんか火に油を注ぐようなロビンのやり方は好きになれない。
僕には差別される側の目線やそれを慮る能力が欠けていることは百も承知なんだけどね・・・。

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アルフレッドが調べたバーンサイドの歴史に気になる描写アリ？！

ロビンの一族、ウィンストン家はバーンサイドの車と蒸気機関で財を成した有力者だったのか。
その後、その会社を買収したのがウェイン・モーターズか・・・。
えええええええ！！！！！なにこの因縁？！？！？！

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ウェイン邸にある一族のアートの哀しい物語・・・。
もう泣かせないでよ・・・。つらいよ・・・。😭😭😭

ウェイン家の伝統の1つで、家族の肖像画が描かれることになってて壁一面にその絵が飾られているんだけど1枚だけ未完成の絵画があってね。
それがブルースの両親の絵なの。その絵を見る度にブルースは未来を奪われた両親を思い出すのかな・・・。

そんな話を聞いたロビンは何を思う？？？

前言撤回！！！ロビン好きになれそう！（笑）
この小僧意外と肝座ってるし、可愛げもあるし、ブレないものを持っていたのね。ごめんね。
ブルースの正体気づいて吹っ掛けるの笑ったわ。

バットケイブに降りて、本物のコウモリ、バカでかコイン、バットモービル、バットサイクル見て興奮してるロビンみると、「うんうん分かる分かるぞっ！」ってなる。（笑）

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ハービー・・・。もうダメや・・・。

もう１人の自分に導かれ、病院を抜け出し、警察署からある資料を持ち出し、秘密基地へと逃げる。

その秘密基地は、かつてバーンサイドに地下鉄の駅をつくろうとした計画の跡地ってまたなんともハービーの原動力になる場所に根を下ろすのね。

セリーナがバーバラに接触した目的もなんかの情報？

SHADOWS チャプター5

流石と言いますか、ハービーの脅し、いや尋問は一級品だな。
ハービーが盗んだファイルはリンカーン貯蓄＆ローンについてのもの？1話のハロウィン強盗と関係あるやつか？

ハービーの目当てはゴッサム市警か・・・。
市警本部を取り囲む形で4か所の爆発、市警への襲撃、地下から這い出るトゥーフェイス軍団。
全員メイクがトゥーフェイスなの怖いけど、バートンが撮ってたらと思うと興奮する。

改めてゴードン本部長って人格者だな。バーバラとの会話で分かる。
でもバットマンに抱えられて空を飛ぶときに怖くて「愛しい神よ。何したんだ。私は58だぞ。」って言う可愛げもある。（笑）

この回で気づいたけど、バーバラのお部屋めっちゃおしゃれ！！！

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ロビンとブルースの師弟関係、ロビンがバットモービル運転してるの何気にアツい！
バットモービルのホログラム作れるのめっちゃカッコイイ～～！

ブ「アルフレッド！バットサイクルが要る！」－ロ「あれ？バットサイクルはまだ準備できてないって言ってなかった？」
ブ「翻訳しよう。準備ができてないのは”君のだ”。何が起こるかわからない。君がころ・・」－ロ「（喰い気味）アルフレッド！！！！！バイクが要る」
⬆️これ好き。

ロビンのAKIRAオマージュ！！！出たね～～～。

ブルースにマント外すのを打診するロビン。草

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デントが別に悪人ってわけじゃないから辛い・・・。
バーンサイドの人にお金配る義賊って言うのがこれまた・・・。

って思った数分後にバーバラの裏切りでハービーの心をさらに破壊っっっ！！！人の心とかないんか作者は。
2つの人格があるから片方は傷ついてもいるんだけど、もう片方は相変わらず「現実なんてないんだ」とか言ってるし完全に壊れてる。

セリーナはブルースたちを盗聴してたってことでOK？？？
なんでハービーを助けたのかもわからんし目的がみえてこない。

ふぁあああ？？？？？ゴードン本部長なんでハービーのことめちゃくちゃ煽るねん！？バカ！！！そのせいで撃たれたやないの！！！！
バーバラはハービーが何しても赦すってのを見越して、絶対に赦さない唯一のこと、父殺しをやらせたゴードン本部長賢いっちゃ賢いけど・・・。

SHADOWS チャプター6

最初のトゥーフェイスの１ページがかなり凄まじい。
正義も悪もないのはこの世を見たら自然と分かるし、正義も悪も手段にすぎずコインの裏表で大差ない存在か・・・。同意です。（影響されやすい性）

バットマンのマスクが右半分だけ割れて、バットマンのマスクと酸で溶けたハービーの顔が対応するの好き。

なるほどリンカーン貯蓄＆ローンってとこは腐敗した組織で、1話の強盗も自作自演、
連邦支援基金を設立してるけど組織犯罪の隠れ蓑で資金洗浄や多額のキックバックやらでもう無茶苦茶ってわけか。
バーンサイドの人に配っても問題なしだし、ハービーがゴッサム市警から盗んだ証拠品は政界や警察関係者に関する情報ってわけか・・・。
確かに正義も悪も手段に過ぎないな。

でもジェロームさんが言うように、汚い金だし、それを得るために多くの人を傷つけたのには変わなくて、悪は悪だよね。
コインに従って恩人も撃ってしまうトゥーフェイス・・・。

うわあああハービーの最期がコイン（バットケイブにあるバカでかコイン）によって迎えられるの皮肉やな。
そして最初何のこっちゃ分からんかったけど、コインが落ちてきたあとに2つの未来に分かれたのね・・・。

①コインが落ちてきて何とか落ちずに済んだ
→手を差し伸べたブルースに銃を突きつけ殺害
→怒り狂ったセリーナに殺される未来

②コインが落ちてきてハービーも落ちそうになり崖に掴まってる
→ブルースが助けに来る
→ケーブルで引き揚げようとするも滑ってケーブルについたフックがハービーの手に刺さる
→宙ぶらりんになった状態でゴッサムが平和になる”別の現実”を見る
→ケーブルが消えてバットケイブの底へと落ちていく

しかもこの最期の何が哀しいって、”別の現実”ではゴッサムが平和になって、ブルースとは友達で、バーバラも赦してくれていて、つまりハービーが受け入れた現実（＝トゥーフェイス）は無数の中から間違ったものを受け入れたってことになる。

そしてセリーナとミスキティとの別れ。
セリーナの言ってることが的を射てるのがなぁ・・・ブルースはどこまでいっても金持ちでしかない・・・。（セリーナも汚職を追ってた）

そしてブルースが殺してしまったオムツの少年の妹についても言及されたね。
ただお金を上げるちゃ周囲にむしり取られるだけだから大人になって彼ってのは良いし、ドレイクのお姉さんが引き取るのね。
僕が勝手にそう呼んでたけどロビンではないのね。今のところは

そして汚職の証拠はセリーナからバーバラに渡される。
オラクルへの言及、ブルースの正体を知ったバーバラ、今後の展開が気になる・・・。

ラストは夢で両親が生きていて、妻と子に恵まれてるブルース。
ハービーが観たようにいくつかある現実のひとつを見たのかな？

さりげなくゴードン本部長の死が。こんなあっさり描くなんて。きつい。

好きなアート/コマTOP3

全体的な感想

第一印象はキレイな絵だなと感じました。
映画でキャラクターを演じた俳優さんに顔を寄せているのである程度の写実性はあるんですが、写実的過ぎず見ていて疲れないところが特徴だと思います。

艶のあるカラーリングやキャラクターの影のつけ方が凄く好みでした。

構図がどうのこうのじゃなくて本当に面白いコマが何個もあってめっちゃ良かった！

バットマンカッコイイというよりハービー（トゥーフェイス）良いなぁが多かった。
マントの内側を紫色にしたのは感心した、相性良すぎ！！！🦇🟪

左右で顔の違うトゥーフェイスを利用したシーン、コインを活用したシーンが多くてそこは魅力的だったと思います。

好きなアート/コマTOP3です。⬇️⬇️⬇️

第3位

チャプター5より

コインに映るそれぞれの思惑。
なんてことないシーンだけど、こんな風に遊び心溢れるものをやられると読んでる時に「ぴゃあああ」って唸ってしまう。

第2位

チャプター1より

オムツを盗んだ少年を追い、家に侵入した時のバットマン。
とにかく怖い得体の知れなさと異常さを視覚的に分からせる。
僕らにはかっこよく見えるのに、少年から見たバットマンはこんなにも恐ろしいのか・・・。

第1位

チャプター4より

二手に分かれた道の片方は明るく、もう片方は暗いっていう演出なんだけど、これって二手に分かれたんじゃなく、二つが一つになったって暗示してるよう・・・。
トゥーフェイス関連で印象深いシーンは多いけど正直これがダントツ。

総評

めちゃくちゃ面白かった！！！！

人種問題を中心に物語が展開されているから、黒人であるトゥーフェイス（ハービー・デント）とドレイクの物語が何倍にも膨れ上がって面白くなる。
あとトゥーフェイスの義賊的な描き方と目を引くビジュアル、絵も相まった美しいスーツの着こなし、悲劇的な境遇とまぁ魅力が尽きないヴィラン。

後半から増える小生意気なロビンとブルースの会話も面白いし、最初はあんまり好きじゃなかったロビン（ドレイク）も終わってみたら大好きなキャラに！ジグザグなマントもおしゃれだしね！

あとは生きていたセリーナとの再会がアツいね。

そして今作の重要なポイントが映画『バットマン』（1989）と『バットマン リターンズ』（1992）の続編だっていう要素！
おかげで映画が何倍も面白くなるし、逆に今作（アメコミ）が何倍も面白くなるっていう永久機関が生まれる。

ちょっとしたセリフや描写が笑えるものになってるから読んでて結構楽しい。
画もカラーもストレスない綺麗だし、小ネタも多くて助かる。

ただ映画の続編っていう要素は障壁でもある。
ティム・バートンの世界観は唯一無二で再現しきれないこと、マイケル・キートンのバットマンの異常性も彼にしか出せないことなどなど必ず生じる障壁だと思います。

ティム・バートンの3作目観たかったな・・・・ともなってしまう複雑さは感じてしまった。まぁ脳内補完の得意な僕みたいな人は溜まらない作品だと思います。

おわりに

今回はティム・バートン版バットマンの続編コミックの感想を書きました。

実はこれの後に続きがあって表紙にバットガールやハーレイクインが写っておりこれから読むのが楽しみです。
気が向いたら感想あげます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメントお待ちしております。