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『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』辛口感想

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大人気ドラマシリーズ『True Detective』のS4が先日日本にも上陸しましたね。
早速イッキ見してきたので感想を書いていこうと思います。

S1~4のネタバレを含みますのでご注意ください

感想

まず本題に入る前に言わせてください。

今作は”海外ドラマとして”ならば高評価ですが、”True Detectiveとして”は駄作です

KUMA
KUMA

面白かったですし楽しませてもらったのですが、残念さも感じたということです。

良かった点

まずは良かったところを述べますね。

主人公2人の設定

名実ともにレジェンドと言っても良いジョディ・フォスターと女優としてはまだ新米のカーリー・レイスがW主演を務めます。

面白いのは主人公2人の共通点、攻撃性が自己防衛的なものであること。
権力を縦にパワハラを繰り出すダンヴァース、衝動的な暴力性を持つナヴァロ。

これはすごく良かった。共通点が魅力的で面白かった。

ストーリーテリング

全6話、各話の終盤にかけて衝撃的な展開や描写により次の話が気になる。
これは素直に良いと思った。

引き付けられる。

新しい要素

過去作にはない要素が新鮮で面白かったですね。良し悪しは置いておいて

アラスカという異質な空間、明けることのない極夜、サブキャラの深掘りなどなど面白くなる要素は結構あった。

悪かった点

ここからはだいぶ辛口になるので気分を害する勇気のある方だけ読んでください。

熱が入って語気が強くなり、偉そうな口調になっています。申し訳ありません。素人の戯言です。

スリリングさの欠片もない

『True Detective』と言えば息が詰まるようなスリリングな展開、緊張の糸がピンっと張り詰めた空気感が魅力の1つです。

今シーズンをご覧になられた方に問いたい。緊張感を感じましたか?

誰も皆無とは言いませんが、第3話ツァラル研究所の関係者宅を訪れるシーン、第5話ハンクのシーン、第6話の研究所内でクラークを探すシーンぐらいですかね。

スリルさを感じない理由として次のことが言えます

・視点が多すぎる。
・犯人からのアプローチがないこと。
・巨大な権力が全く働かないこと。

いずれも過去シーズンにはあった・なかった要素です。
主人公たちがまずい状況に陥りそうになる展開こそ緊張感が高まるはずなのに、これらの要素がないことがどこかドラマに生ぬるさを感じざるを得ない理由です

盛り上がりに欠ける

過去シーズンには、S1第5話の脱出劇S2第6話の潜入捜査S3第5話のウッダード襲撃事件など大盛り上がりする様なシーンや話がいくつもありました。
こういったエンタメ性に突出した話があるからこそ「また観たい!!!」と思わせるわけです。

残念ながら今シーズンはそのようなシーンや話は皆無と言っていいでしょう。
本来ならばクライマックス前にそのような山場を設けるべきでしょう。

もし大目に見ればハンクの死はそのような盛り上がりとなり得たのだが・・・・・・・
ハンクの為人ひととなりや複数のシーンにより台無しになっていた
詳しく話します。

ハンクのダンヴァースに対する嫌悪感や非協力的な態度は序盤からチラついていた。
”ドラマとして”は良いのだが、”『True Detective』として”は、ハンクをミステリアスなままにしておくべきだった。

婚約者に騙され、ピートへの愛情を持っており、アラスカに縛り付けられたどこか悲しいキャラ設定はギリギリまで隠しておくべきだ。
それでいて権力欲がありながら大したヤバさがないキャラ設定が残念でした。

KUMA
KUMA

鉱山会社の社長との密会は描くべきではなかった。
こいつ何しに来たのか観客にはバレバレじゃん・・・・。

キャラのトラウマ

確実に監督の演出力不足だと思います。

過去作同様に今作ではキャラクターのトラウマや過去、抱える問題が重要になっていました。しかし今作は「要素として出しておきましたよ」って感じしかしない。

過去作では主人公たちのトラウマや過去が事件と絡み合い、物語を通して浮き彫りになっていきます。
その描写が巧みで事件、主人公、観客に呪いのごとく重苦しくつきまとう様が非常に秀逸でした。

今作はダンヴァースのおそらく死んだ息子、死んだ夫、あえてなのか知らないが大して深掘りしていない
さらに義娘との関係も雑に処理されていた・・・。本音話すシーンは必要だろ。

さらにナヴァロのトラウマが結局事件と関係のない所で着地するという始末。
特にウィーラー事件の回想シーンは酷い。なぜあんな淡白な演出にしたのか?

KUMA
KUMA

闇に向き合ってるか?

ナヴァロの方はまだしも、ダンヴァースの方は目を背けてるだろ。

はっきりと描かない煮え切らない脚本のせいでもあるが明らかに演出力不足。
彼女たちのトラウマが攻撃性の源であろうに・・・。
よりスリリングに、より鬼気迫る描写に、よりエモーショナルにできなかったのだろうか?
より主観的に、空白を持たせて、胃がキリキリするように映せなかったのか?

ぜひジャン=マルク=ヴァレ監督の『シャープ・オブジェクト KIZU-傷-:連続少女猟奇殺人事件』を観てほしい。
これこそ最も巧みに過去のトラウマを描いた作品だと思う。

残念なラスト

結末はアニーの死の真実を知った女性たちによる犯行でした。
面白いと思いますし文句を言うつもりはありません。

ただ、肩透かしを食らったのは事実です。

問題はストーリーの運び方にあると思います。(矛盾してますね)
メインはツァラル研究所の事件なのにも関わらず、話がわき道にそれながらたらたらと進み、ラスト20分で真相を明かす。
直前まで超自然的な要素を何度もちらつかせる手法は好きではない・・・
白熊や幻覚、幻聴、亡霊、フラッシュバック、出しすぎだろ!
そんなのはスパナチュのスピンオフでやってくれ・・・。

僕が言いたいのは、こと『True Detective』に関しては邪悪な真相以外求めていない!

KUMA
KUMA

ていうか地下への入り口のボタン壁にあったっぽくなかった?
仕事しろ!バカ!

おわりに

念を押しておきますが、面白かったし楽しんだのは事実です
ただこのドラマシリーズとしてはよくないってだけ。

本当に素人の戯言なので気にしないで下さい。
シリーズの新作を観れてうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

機会があればS1~3についても何かしら書きたいと思います。

コメント

  1. 初めまして。
    結局、遺体の舌を切り取ったのは誰だったのでしょうか?
    イマイチ理解できませんでした。

    • コメントありがとうございます。
      監督のイッサ・ロペスより答えが出ています。↓(無茶苦茶ですが)
      https://www.forbes.com/sites/paultassi/2024/02/21/the-true-detective-night-country-showrunner-explains-the-tongue-thing/?sh=11df13425c51

      2つの構想があるようです。(誤訳している可能性があるので悪しからず)

      1つはハンクが切りとって、遺体を見つけた時にあの女性たちが冷凍保存しておいた。つまり研究所に置いたのも彼女たちというストーリー。
      ハンクはサイコパスの要素を少なからず持っており、鉱山に関わるなという警告の為に切り取ったそう。

      もう1つはひとりでに舌が消え、アニーKの幽霊が研究所に置いていったというものです。

      • スタンさん、ありがとうございます。
        監督の回答があったんですね。

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