数多くの映画に出演し、活躍中の女優ブライス・ダラス・ハワード
彼女は演者だけではなく監督としても活躍していることをご存じでしょうか。
過去3回に亘って彼女の「監督」としての顔(側面)について色々と語ってきました。(↓)
#1~#3まとめ
今回は2024年12月から年をまたいだ2025年1月にかけてディズニー+にて配信されたSWのドラマシリーズ『スケルトン・クルー』の第6話「また友達がいなくなる」で再び彼女は監督を務めたので、今回は過去3回同様に感想も兼ねて彼女の「監督」としての顔に迫っていきたいと思います。
『スケルトン・クルー』『マンダロリアン』『ボバ・フェット』のネタバレを含みます。
ブライスの監督作を(ブログに投稿した以外にも)かなりの数観てきたこの僕の目線から『スケルトン・クルー』の第6話「また友達がいなくなる」について語っていきます。
「監督」としての顔
ざっくりと内容を確認しておきます。
ピンチを脱したものの様々な問題、特にアトアティンへと帰る足(船)の不在、を抱えており、そんな中ファーンとKBに亀裂が走るといった内容です。
KBとウィム、ファーンとニールの2組に分かれチームは空中分解するかに思えた。
しかしお互いに間違いに気づき、再び結束を強め、愛船オニックス・シンダーに乗って故郷へと向かう・・・。
ってな感じですね。
オニックス・シンダーがアタッチメント?外殻?を外すシーンバチコリかっこよかった・・・。惚れてまうやろ・・・。(書く場所なくてどうしても言及したかったからここで)
得意な題材
今回のお話は優しさと慈しみで包み込む温かい人間ドラマという彼女のお家芸的な内容でした。
過去の監督作を知っている身としては「はい。傑作確定。」っといった感じです。
お家芸を観たい人向け
ブライスによる温かい人間ドラマを観たければおススメしたいのが『When You Find Me』と『Orchids』。
前者は母を亡くしたある姉妹の、後者は妻に先立たれた男と若い女性の物語でYouTubeで観れる短編作品です。
特にKBとウィムが修理しながら本音を話すシーンは「なんて素敵で心に刺さるんだ・・・。」と思いましたね。
彼女は本当にこういう優しい雰囲気をつくるのが上手い。
友達が0人になることを恐れるKBに「僕とニールがいる」という発言後、控えめなKBの微笑みはその”溜め”も相まって優しさが倍増しているように感じました。
またシーンは夕暮れ時のため落ち着いた明るさが、包み込むような優しい空気づくりに役立っていたように感じます。
そして見せ方が巧い。
KBの修理のタイムリミットが刻一刻と迫り、「どうなるの?!」ってシーンではややテンポの早い低音の曲をかけ、緊張が頂点に達する頃にKBへの作中1番のアップカメラを解禁する。
ただ風だけが流れる長い間を挟んで、KBの無事が分かると明るい曲に変わる。
見せ方が相変わらず巧くて、特に夕暮れが(夜に近づく意味で)不安な画としても(夕日の美しさのために)希望を抱かせる画としても利用してるのがスゴイ刺さった・・・流石・・・。
雰囲気をガラッと変えて夕暮れの印象変えるのも凄ければ、
修理中のシーンではウィムに夕日をかぶせることが多く、修理後のシーンではKBに夕日の方を向かせたり、夕日へ歩かせたり、立ち上がらせてオレンジ色の空を見せやすくしているように感じた。
ブライスが好きだから、この感想はかなりバイアスがかかって過剰に評価してることは否めない・・・。
ファーンとKBの仲直りシーンにしても、まずはハグと音楽で温かい雰囲気を作り出し、両者の歩み寄りに入る。
両者が歩み寄るシーン(本音を明かし謝罪するシーン)では、両者の言葉をしっかりとそれぞれの顔を映しながら映すことでかなり力強くなっています。
それにしてもこの子たち演技が輝いてるわ・・・。
『マンダロリアン』でのあれを彷彿とさせる
ブライスは『マンダロリアン』S1EP4「楽園」の監督も務めています。
その話で強烈に覚えていることの1つがAT-STを怪獣のように生き物として表現したことです。
今回はそれを彷彿とさせる存在が2体(1体+1機)登場しましたね。
1つはゴミ蟹の親玉ですね。
大きな岩山が動き出して本来の姿を現す一連のシーンは『マンダロリアン』のシーンを彷彿とさせて個人的にはかなり嬉しかった。
ただゴミ蟹以上にAT-STと同じものを感じたのがゴミ処理機(仮)。
特にこいつに関しては登場シーンから最高で、4人が斜面を登り切るのと同時に騒音を出していたその姿を見せて絶望させる。
ゴミを呑み込む口をアップにして、喉には火を噴きだしている。
その後のシーンでも機械の出す無機質さもあるにはあるが、怪獣の口に呑み込まれるような死の恐怖を味わえるのは最高でしたね。
これはブライスの十八番にしてほしい映像表現。
生き物みたいに動く機械、監督予定のリブート版『ナビゲイター』でも観たいものですね。
『ボバ・フェット』でのあれを彷彿とさせる
また『ボバ・フェット』のEP6「マンダロリアンの帰還」もブライスは監督しています。
そのとあるシーンを彷彿とさせるシーンが今回の『スケルトン・クルー』でもありましたね。
それこそKBの修理シーンとN-1スターファイターの組み立てシーンです。
KBの修理シーンはかなり丁寧に描写されていました。
ゴミの中から修理に必要な部品をかき集め、KBが常備してるライターなどを活用し、即席で修理します。
N-1の組み立てシーンもそうでしたが、一見無駄に思えるこのようなシーンはリアルさへの追及であり映像作品をつくるうえで非常に重要だと思います。
これがあることで特にSF作品では説得力が増し、世界観に没入するのを手助けします。
ブライスは頼もしいSF監督ですね。
師ジョン・ファブローの教えを実践しているのか?父ロン・ハワードから多くを学んだのか?気になるところではあります。
ジュード・ロウを褒めた理由
ジュード・ロウ演じるジョッドがかつての仲間を前にスピーチをするシーンは演出がどうこうよりも、彼の演技と場面支配力にやられましたね。
ブライスは2023年7月の時点でジュード・ロウのことをべた褒めしているのですが、その理由が判明したシーンで個人的には謎が解けたようでスッキリしました。
下の動画(2:00くらいから)では大まかに要約すると、
【「ジュード・ロウと仕事するのは本当に楽しかった。なぜなら知っての通り『ヤバイ!これこそ演技だ!』って感じるのは私にとっての幸せな空間なの。
彼は最高で、一緒に楽しいものをやり遂げた。それはピューピューピューって具合のThe アクションって感じじゃないけどゴージャスで、それこそ何か深いものを作り上げたって思えるものなの。」】
おわりに
『スケルトン・クルー』の第6話「また友達がいなくなる」はブライスの「監督」としてのファンには堪らない作品でした。
彼女が得意なハートウォーミングな人間ドラマを観れただけでなく、過去4回に亘ってSWドラマシリーズの監督をしていた経験が垣間見える物語でした。
今回注目した2つのSF描写はかなりヨダレが垂れるような描写力で、益々彼女のSF初長編映画になる予定のリブート版『ナビゲイター』が楽しみになりました。
さらに新たな監督作品『All Of Her』も発表されたので益々彼女の「監督」としての顔に注目していきたいですね。
翻訳や名称等に関して間違いがありましたら申し訳ございません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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